白鳥の湖

 

チャイコフスキー作曲
版:ライジンガー版、プティパ=イワノフ版、ゴールスキー版、ワガノワ版、エック版

ニコライ・セルゲイエフ版、 メッセレル版、バランシン版、ブルメイステル版、

ヌレエフ版、ノイマイヤー版

 

 

 

チャイコフスキー三大バレエの一つ。バレエ演目の中では一番の知名度を持ち、「バレエの王道」 的な演目。ほとんどの公演で白鳥のオデットと黒鳥のオディールは一人二役なので、純真な乙女 オデットと悪魔の娘オディールの演じ分けが難しい。全体には動的な一・三幕、静的な二・四幕があり、舞台の豪華さ、ストーリーの分かりやすさ、踊り、どれをとっても見どころが満載*

 

 

あらすじ

 

 

【第一幕】お城の庭園で明日行われる王子ジークフリートの成人を祝う宴の前祝いの場面。

みんな楽しげに踊り、お酒を飲んだりしている。そこへ、王妃が従者たちとともに現れる。王妃は王子に「明日の宴で結婚相手を選びなさい」と伝え、弓を与える。王子は独身最後の日を宣告され、なんとなく気が進まない様子。王妃が去ると宴は続行され、パ・ド・トロワ王子のソロ乾杯の踊りなどを披露する。夕暮れになって宴も終わった頃、ジークフリートは白鳥の群れが頭上を飛び去るのを見る。惹かれて白鳥を追うジークフリード。森の中へと去る。

 

【第二幕】場は一転して寂しい湖のほとり。ジークフリードが湖に到着すると、先ほどの白鳥たち

が次々と現れ、王子は弓をつがえる。しかし、やがてひときわ美しい白鳥が現れると乙女オデットに姿を変える。驚く王子。王子はその美しさに感動して、思わずオデットのもとへ歩み寄る。

オデットはおびえるが、王子の優しげな様子に惹かれて身の上話をする。自分は悪魔の呪いをかけられた王女で、この呪いを解くには永遠の愛が必要であると。先ほどの白鳥の群れも元の娘たちの姿になって登場する。王子はオデットを結婚相手に指名するため宴に招くが、オデットは夜しか人間の姿に戻れないという。王子はオデット以外の女性は選ばないと言い、永遠の愛を誓う。そこへオデットを白鳥に変えた悪魔ロットバルトが現れ、オデットも白鳥の姿に戻って去る。

 

       

【第三幕】ジークフリードの成人祝いの宴。壮麗なお城の宴会場に、大勢の貴族、四人(〜六人)の花嫁候補、王妃、ジークフリードなどが次々と登場する。やがて宴が始まると、まず花嫁候補たちがそれぞれ王妃と王子にアピールしながら美しく舞う。王妃はどの娘が気に入ったか王子に

 

尋ねるが、オデットに愛を誓った王子はどの娘も選べないと答える。そこへ、新しい客の到来を告げるファンファーレが鳴り響き、騎士に変装した悪魔ロットバルトが現れる。ロットバルトはオデットそっくりの姿をした娘オディールと大勢の従者を従えている。王子は、オディールがあまりにオデットに似ているので、彼女が来てくれたと勘違いする。やがてロットバルトの従者達が様々な国の踊りを繰り広げ、最後にオディールが登場して王子を誘う。王子はオデットと思い込んで、窓辺に現れたオデットの警告にも気づかず、オディールに永遠の愛を誓ってしまう。その途端、ロットバルトとオディールは哄笑して去っていく。騙されたことに気づいたジークフリードは愕然とし、急いで湖へと向かう。

 

       

【第四幕】再び寂しい湖のほとり。白鳥の娘たちがオデットを待っているが、そこへ絶望したオデットが戻ってくる。王子が別の女性に愛を誓ったために、絶望しているオデット。そこへ王子が駆け込んできてオデットに必死で謝罪し、永遠の愛を誓ったのはオデットに対してであると訴える。オデットは王子の姿をみて許し、二人は再び愛を誓う。しかし、そこへロットバルトが現れて二人の仲を裂こうとする。王子は悪魔と闘い、勝利する。二人は永遠に結ばれる(その他、オデットが身を投げて王子もそのあとを追い、二人の強い愛によってロットバルトは死に、呪いが解けるという結末や、王子と悪魔が死に、そのおかげでオデットたちは呪いが解けるという結末もある。)

 

 

 

見所

 

 

第一幕は、王子の成人式前祝いの場で踊られるパ・ド・トロワ(だいたい男性一人、女性二人の三人の踊り)、王子と王女のパ・ド・ドゥ王子のソロ(ないこともある)。そして、道化の踊り

道化役は、男性ダンサーの演技力、跳躍力の見せ所。


第二幕は、王子とオデットが愛を誓い合う場面を表現するパ・ド・ドゥ(主役の男女二人の踊り)。名場面中の名場面。とにかく美しいです。あの有名な曲は、ここで使われます。
それから、四人で手をつないで踊る、有名な四羽の小さな白鳥の踊り三羽(二羽・四羽のことも)の大きな白鳥の踊り。四羽の白鳥の踊りは音楽も有名で、振りもかわいい。四人の踊り手の足さばきがいかにきれいで揃っているかに注目。そして、美しい白鳥たちの群舞
オデット役のバレリーナの白鳥の羽を表現する手の動きも見事です。

第三幕は、花嫁候補たちの踊り。だいたい衣装もかわいいです。
ロットバルトの従者たちの踊り。
いろんな国の踊りを踊ります。
見せ場は
オディールと王子のパ・ド・ドゥ。妖しい魅力で王子に迫る場面。この場面のグラン・パ・ド・ドゥはガラコンサートでも定番といえる有名な踊り。最後に出てくる32回フェッテでは、最近はダブルを入れるのはあたりまえになってきており、たまに3回転を入れるダンサーも出てきています。

第四幕は、王子とオデットの再び愛を誓うアダージョ。とても切なくて涙が出ます・・・。

あと、ロットバルトの死に様(笑)。

全体に、聞いたことのある美しいメロディに彩られていてとてもロマンティックな雰囲気の

演目です。第二幕・四幕の群舞はとってもきれいで、そのラインの美しさをよく見るなら

二階席の方がおすすめかな