海賊

 

アダン、プーニ、ドリーブ、ドリゴ、オリデンブルグスキー作曲
マジリエ版(初演1856年)、プティパ版(初演1863年

 

 

現在は、第2幕の踊りがコンクールやガラ・コンサートでよく踊られるものの、全幕通してはあまり上演されない演目です。しかし、内容はとっても面白くて見どころもたくさんあります。もっと上演される機会が増えてほしい演目の一つです。

 

あらすじ

 

【プロローグ】 一隻の海賊船が嵐の中を航海する場面。3人の海賊が船の沈没を避けようと奮闘しているが、あえなく難破してしまう。

 

【第一幕】 ギリシャのとある浜辺。さきほどの3人の海賊が浜に打ち上げられている。そこへ、ギリシャの娘たちが通りがかり、3人を見つけて助ける。この海賊は首領コンラッド、その友人ビルバンド、そして奴隷アリである。コンラッドは、目を覚ますと娘の一人メドーラに心惹かれ、メドーラもコンラッドに惹かれる。しかし、娘たちは追ってきたトルコ軍に捕らえられ、奴隷商人に売られてしまう。コンラッド他二人は、娘たちを救うことを誓う。
場面は変わって
奴隷市場。ギリシャの娘たちはトルコ総督(パーシャ)の見る前で売りに出され、まず美しいギュルナーラが総督に買われる。メドーラが競売にかけられた時、奴隷を買いにきた商人に変装した海賊たちが現れ、メドーラを高値で引き取ろうとする。しかし、トルコ総督がおかしいと言い出したために海賊たちは姿をあらわし、メドーラとギリシャの娘たち、奴隷商人を連れてへと逃げる。

 

【第二幕】 海賊たちの洞窟。娘たちを無事に取り返した海賊たちはを開いている。愛するコンラッド、奴隷アリとともにうれしそうに踊るメドーラ。そこへギリシャの娘たちが

メドーラに家に返してくれるようコンラッドにとりなしてくれと頼む。コンラッドはメドーラの願いをきき、娘たちを解放しようとするが、ビルバンド以下全員が反対する。それを押し切ってコンラッドは娘たちを解放する。

コンラッドがメドーラと寝室へと消えたあと、奴隷商人は海賊たちにコンラッドへの報復をけしかける。ビルバンドらは眠り薬をふりかけたバラを用意し、メドーラに届ける。罠とも知らずにメドーラはコンラッドにバラを捧げ、コンラッドは眠りに落ちる。そこへ、ビルバンドや奴隷商人が現れ、メドーラが抵抗して混乱した隙に奴隷商人はメドーラを奪って逃げる

 

【第三幕】 トルコ総督の屋敷のハーレムにある花園。総督はギュルナーラの踊りをみて満足するが、他の娘たちの踊りは気に入らない。そこへ奴隷商人がメドーラを連れて現れ、総督はさっそく買い取る。総督は娘たちの衣装を着替えさせ、その間うたたねをする。夢の国では、着飾った娘たちが花輪をもって花園で踊り、ギュルナーラとメドーラも美しい踊りを披露する。眠りから覚めると、さっそくを始める総督。そこへ、巡礼者を装った海賊が現れ、祈りを捧げるふりをして、ころあいをみて正体をあらわし、メドーラやギュルナーラを助ける。海賊たちは船で逃げ、コンラッドメドーラ結ばれる。海賊達は奴隷商人をこらしめ、海へ逃げる。しかし、船は嵐にあって沈没。コンラッドとメドーラは奇跡的に大岩に打ち上げられ、助かる

 

 

見所

 

プロローグは、う〜ん・・・船のセットの出来具合とか?(笑)
第一幕は、浜辺で惹かれあうコンラッドメドーラの演技。
そしてアラビアの奴隷市場で繰り広げられる
メドーラギュルナールの踊り。

第二幕は、全幕中、もっとも注目度が高い洞窟でのパ・ド・トロワです。コンラッドメドーラアリの三人で踊る。このうち、アリのヴァリエーションはコンクールでもおなじみ。ガラ・コンサートではこの場面の踊りがよく踊られていますが、このときはメドーラとアリのパ・ド・ドゥに変えられています。(私個人の意見では、ガラコンサートではこの二人の踊りを見ることが多いので、なんとなくアリへの注目度が高まってしまい、コンラッドってなんだか主役って感じがしません^^;)

第三幕は、娘たちの群舞です。花園での踊りはとても美しいです。

全体として、場面がいろいろと変わり、衣装も変わり、踊りの振りもよく面白い演目です。第三幕の夢の中の花園のシーンはとてもきれいで、一見の価値アリです。

ただ、全幕通して上演されることはすくないので、私もビデオでしか見たことはありません^^;。